platinum Beautifulsky
□act6
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【act6:fight!】
左投げ用のグローブでマウンドに上がった美空
球場はざわつく
かつて両投げなんて聞いたことが無い
「(父さん、ごめん。今日使っちゃうよ)」
極秘にしていたこの左肩
美空は開幕までは出さないと決めていたが
同じチームにいる金本との対戦は紅白戦でしか出来ないと思って
ついに出してしまった
達「(ストレート、ど真ん中。まだ、神速は使うな)」
美空はそのサインに頷き構える
金本も構え
美空は第一球を投げた
ガッ
審判「ファール」
球場はその速さにびっくりしたがその速さはさっきの右投げとあまり変わらないと軽く見ていた
達「(さすが金本さん・・・今のは大体165キロぐらいやのに、ファールにしはった・・・)」
「(左は右より力が無いから・・打たれたらホームランや・・)」
右投げは打たせてとる型の球なので威力は大きいが
左投げの場合はキレと伸びそしてスピードを加えた三振型の球なので
スピードは速いが力が弱いので打たれたらスタンドに入ってしまう
達「(よしっ、もう一度ストレートや)」
「(・・神速は?)」
達「(あんまり、見せたらあかん・・最後の一球になるまで投げないほうがえぇ)」
「(わかった)」
第二球、ストレートインコースを投げた
それも、ファールとなる
木戸コーチ(以下91)「右とたいした変化はないのに・・」
72「いや・・俺が見た左のアレはもっとすごいんや・・まるで、消えるようなあの球」
91「ってことは」
72「開幕まで秘密にしろって、あいつの父親に言われているらしいからな・・・でも最後に投げるやろ、きっと」
91「消えるような・・球」
「(神速・・・)」
達「(これで決めよう)」
6「(左に変えたのは何か意味があるもんじゃろ・・最後にそれがくる・・)」
金本の眼差しはよりいっそう強いものとなった
スタンドはあと一球コールが響く
ルーキー対ベテラン
美空はロージンバッグを手に取り失敗しないようにしっかりつける
手が滑ったら重症になりかけないから
再びボールを持ってマウンドに立つ
達也は目で合図を送り
美空は、投げた
シュッ
パシッ
一瞬の出来事だった
審判も数秒たってからストライクと言った
バッターの金本も一瞬何が起こったかわからず、その球を受け止めた達也のミットを見るだけだった
美空の投げた瞬間それは金本の前を通過したのかわからず
一瞬の風になって一直線に達也のミットにおさまる
球場全体があ然とした。
まさにあいた口がおさまらないといった状況だろうか
記者も思わずシャッターを押すのを忘れていたほどだった
野球中継のカメラでスロー再生をしても、見えにくかったほどだ
一瞬だけ応援で騒がしかった球場が静かになった
風が吹いている
今日も快晴な空
美しいきれいな空だ
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